在留外国人が400万人に迫る中、外国人犯罪への関心が高まっている。
警察庁の統計によれば、2024年の来日外国人による刑法犯検挙件数は前年比20%超の増加を記録した。しかし長期的に見れば、外国人犯罪は2005年のピーク時から大幅に減少しており、人口比での犯罪率も日本人と大きな差はない。本稿では、統計データに基づき外国籍犯罪の実態と背景要因を検証する。
検挙件数の推移と近年の増加
外国人による刑法犯の検挙件数は、平成17年(2005年)の4万3,622件をピークに、翌年からは減少傾向にあった。しかし令和5年(2023年)は前年より2,594件増加し、1万5,541件(前年比20.0%増)となった。 Ministry of Justice Japan
2024年の来日外国人による総検挙件数は21,794件で、前年比+20.5%と大幅に増加した。 Nghuen-law2015年の14,267件と比較すると約1.5倍に増加している。 Tsukuba-bouhan
この増加の背景には、コロナ禍からの回復がある。2020年から2022年はコロナの水際対策で外国人の入国者数そのものが極端に減った時期であり、2023年の入国者数は2022年の6倍以上に増えた。 Japanese Communist Partyつまり、近年の増加はコロナ禍の反動という側面が大きい。
国籍別・犯罪類型別の傾向
令和5年中の来日外国人犯罪の検挙状況を国籍・地域別にみると、ベトナム及び中国の2か国で検挙件数全体の約6割を占めている。 National Police Agency
令和5年における来日外国人による窃盗の検挙件数を国籍別に見ると、ベトナムが3,130件と最も多く、次いで中国1,039件、ブラジル229件、フィリピン203件の順であった。 Ministry of Justice Japanなお、これらの数字を見る際には各国籍別の在留者数に違いがあることに留意する必要がある。
来日外国人犯罪の種類別統計を見ると最も多いのは侵入盗である。 Tsukuba-bouhan窃盗や詐欺などの財産犯が中心であり、殺人は0.5%(55件)、強盗は0.8%(82件) Ministry of Justice Japanと凶悪犯罪の割合は極めて低い。
犯罪率の比較と実態
外国人犯罪の増加が注目される一方で、人口比で見た犯罪率については異なる見方もある。2024年のデータでは、外国人の犯罪率(検挙人員ベース)は人口の約0.41%程度となる。一方、日本人の犯罪率は約0.22%と算出される。確かに外国人の方がやや高い割合にはなっているが、この差は0.2%程度であり、決して外国人だけ突出して高いわけではない。 Tokyo-hrc
刑法犯における内訳を見ると、日本人と外国人の間に大きな違いはない。日本人・外国人ともに窃盗がそれぞれ46.7%、43.4%と多く、凶悪犯は2.7%、3.7%とわずかである。 Hitachi-zaidan
法務省がまとめた「犯罪白書」によると、刑法犯で検挙された外国人は、2004年の1万4,766人から、2023年は9,726人と34%減っている。凶悪犯で検挙された外国人は2014年の247人から2023年は361人と約1.5倍に増えたが、この間に在留外国人は1.6倍に増えており、外国人が重大な犯罪を起こしやすくなっているとはいえない。 Tokyo Nikkei
技能実習生をめぐる構造的問題
2022年の総検挙人員の内訳では、「技能実習」が最も多く2,692人(23.3%)を占め、次いで「短期滞在」2,122人(18.4%)、「定住者」1,396人(12.1%)と続く。 Rikuaji
ベトナム人技能実習生の犯罪が増加している背景には、来日のための借金が他の国籍の人より多いことがある。 Divership技能実習生制度のもとでの過酷な労働環境や低賃金が原因とされ、窃盗や暴力事件などの犯罪に手を染めるケースが報告されている。 Tsukuba-bouhan
日本経済新聞の報道では、2023年4月時点で1万人以上が所在不明になっていることが明らかになっている。賃金が少ないなど様々な理由から失踪し、不法就労・不法滞在の状態になっている技能実習生が増えている。 Divership
体感治安と統計の乖離
統計上は犯罪が激減しているにもかかわらず、内閣府の世論調査では「ここ10年で日本の治安は悪くなった」と感じている人が半数を超える。この背景には、インターネットやSNSを通じて犯罪関連の報道や情報が過剰に拡散される現代の状況がある。 Tokyo-hrc
外国人犯罪の問題を考える際には、センセーショナルな報道に左右されず、統計データに基づいた冷静な分析が求められる。同時に、犯罪の背景にある技能実習制度の構造的問題への対応も急務である。



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