国籍は、個人と国家を結びつける法的な絆であり、その取得方法は国によって大きく異なる。世界には「血統主義」と「生地主義」という二つの基本原則があり、日本は前者を採用している。本稿では、国籍取得の基本的な仕組み、日本における取得の3つの原因(出生・届出・帰化)、各国制度との比較、そして複数国籍が発生するメカニズムについて解説する。
血統主義と生地主義——二つの基本原則
国籍法は大きく出生地主義と血統主義に分けることができる。出生地主義とは、生まれた場所で国籍が決まる方式であり、アメリカのようにその国で生まれることによって国籍が付与されるシステムである。一方、血統主義は生まれた場所は関係なく、父母の国籍を継ぐという形式である。 Attorney-office
日本は明治時代に作られた旧国籍法時代から一貫して「血統主義」を採用している。ただし、1984年までは父親が日本国民の場合だけ日本国籍を取得する「父系優先血統主義」を採用していた。1985年施行の国籍法改正により、父又は母のいずれかが日本国民ならば日本国籍を取得する「父母両系血統主義」を採用するようになった。 日本弁護士連合会
血統主義が国際的には主流派であり、父系を優先する国は中東諸国に多く、条件付きで出生地主義と併用しているのはイギリス、ドイツ、フランスなど西ヨーロッパ諸国に多く見られる。 Azurshinchifeel
出生地主義は世界各国のうち20%以下の国で採用されている。先進主要7か国の中では、カナダとアメリカ合衆国が無条件の出生地主義を採用しており、親の国籍および滞在資格に関わらず、その国で生まれた子には自動的に国籍を与える方式となっている。 Wikipedia
日本における国籍取得の3つの原因
日本国籍を取得する原因には、出生、届出、帰化の3つがある。 Ministry of Justice
**第一に「出生による取得」**がある。日本は父母両系血統主義をとっているため、出生時の父または母が日本人であれば、その子は日本人となる。逆を言えば、父母ともに日本人でなければ、自動的に日本人になることはない。両親が日本で生まれ育っていても、父母とも外国国籍であれば、その子どもは日本で生まれても自動的に日本国籍を取得することはない。 Attorney-office
ただし例外として、日本国内での出生により国籍を取得できる場合がある。子が日本国内で生まれ、その父母がともに知れず、あるいは無国籍である場合には、無国籍者の発生を防止する趣旨から、血統主義の例外として出生地主義が採用されている。 日本弁護士連合会
**第二に「届出による取得」**がある。これは、一定の条件を満たす者が届出によって日本国籍を取得する制度である。例えば、日本人父に認知された子や、国籍留保をしなかったために日本国籍を喪失した者が日本に住所を有するようになった場合の国籍再取得などがこれに該当する。
**第三に「帰化による取得」**がある。帰化とは、外国国籍の人が日本国籍の取得を希望する場合に、法務大臣に申請して、法務大臣が認めた時に国籍を取得することができる制度である。 日本弁護士連合会帰化には居住要件、能力要件、素行要件、生計要件などの条件が課される。
各国の制度比較
アメリカでは出生地主義により、アメリカで生まれた人は両親の国籍に関係なく自動的にアメリカ国籍を取得する。加えて血統主義も併用され、アメリカ国籍を持つ親から生まれた子供もアメリカ国籍を取得可能である。 Pright-si
ドイツは日本のように血統主義を堅持していた国の一つだが、1999年に国籍法が改正され、出生による国籍取得の範囲が拡大された。出生時に両親が外国籍であっても、親の一方がドイツに合法的に8年以上定住し永住資格を持っている場合、子どもはドイツ国籍を取得することができる。 Attorney-office
フランスは出生地主義と血統主義の両方が採用されており、両親が外国人の場合でも、子どもがフランスで生まれ11歳から5年以上居住している場合、18歳に達したときにフランスに居住していれば自動的に国籍を取得できる。 Pright-si
複数国籍の発生メカニズム
複数国籍を取得するケースとしては、生まれた場所の国家が生地主義の法制度を採っている場合と、片方の親が外国国籍で当該外国が血統主義の法制度を採っている場合が典型的なパターンとして挙げられる。例えば、日本国籍と韓国国籍の夫婦の子が米国で生まれたら、日本国籍・韓国籍・米国籍の3つの国籍を持つことになる。 日本弁護士連合会
日本国民の子が外国で出生し、出生により複数国籍となった場合のみ、出生後3か月以内に「国籍留保」の届出が必要である。この届出をしないと、出生時に遡って日本国籍を失うことになる。 Ministry of Foreign Affairs of Japan
日本の国籍法では、出生による重国籍者は22歳までに、20歳以降に重国籍になった者は2年以内にいずれかの国籍を選択する「国籍選択制度」が設けられている。 HURightsこれは重国籍の発生を抑制するための制度であるが、世界的には複数国籍を容認する国が増加傾向にある。
国籍取得のメカニズムは、各国の歴史的背景や人口政策と密接に結びついている。グローバル化が進む現代において、国籍制度のあり方は引き続き重要な議論のテーマとなっている。


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